古書

今日、注文していた本が届きました。

中古で、驚くほどのお値段でした。

送料のほうが高いのです。

これは、基本的に非売品ですから、

おそらく贈られた方が手放したのでしょう。

なんということを!と思いがちですが、

そうではないと思います。

つまり、

持ち主が他界されたのではないでしょうか。

ご遺族の方が、蔵書をまとめて処分した、

ということは、十分に考えられます。

そして、その本を手にして、その思いは正しかったと確信しました。

いただいた日付が、裏に記されておあり、

ところどころ、鉛筆で丁寧にチェックが線が

書き込まれていました。

大切になさっていたのだろうと思います。

また、装丁が素晴らしくて、

きれいな表紙で、見入ってしまいました。

これを出版された作者の方、そして、

大切に手元に置いていらした方を思い、想像し、

しばらく茫然としていました。

もしかしたら、私の知っている方かもしれません。

ここ15年ほどで、たくさんの方を天に送りました。

このページをそどように開いて、また開いて、

鉛筆で記して、その姿を思い浮かべます。

作者と読者のお二人の思いをいただいたようで、

胸が熱くなりました。

しかし、そのお値段は、あまりに見合わないものでした。

一人の人の人生が軽んじられたような、

憤りをいだきました。

こんなことがあっていいのでしょうか。

値段がつけられる本ではないのです。

しかし、この本との出会いを感謝します。

今、私の手元にあることを感謝します。

いつまでも、いつまでも、

大切にされることを願って止みません。