今は昔

あれは、もう40年以上も前。

町内に大きな火事がありました。

友人宅を含め、3棟が焼けた火事は、

火の元の家に火を使っておらず、

また、小雨のちらつく日だったことから、

さまざまな憶測が飛び交いました。

その多くが、根も葉もない無責任な内容でした。

それから3年後、またしても町内の同じ地区に火事がありました。

明け方、「火事だ!」と叫ぶ声に町は目覚め、

発見が早かったことから、半焼で収まりました。

が、この家は、持ち主こそ近くに住んでいたものの、

普段は使われていない、空き家だったのです。

それが前夜はお祭りで、町内の若衆が泊まっていました。

しかも、消防が調査する前に片付けられていと言われており、何やらきな臭いと噂になりました。

警察が一軒一軒尋ねて廻っていました。

でも、それで何もなく終わったはずです。

その家の持ち主は、しばらくして引っ越してしまい、

同じ名の親戚も、その後の道路拡幅の際に引っ越してしまわれました。

その火事以後、両家の間にわだかまりがあったとも言われています。

最初の火事で、焼け太りした者の企みだとも噂されてもいました。

真相は謎です。

町内の大きな事件。

別に興味はないのですが、

今も記憶に残り、

悪いものを呼び寄せているのでは、と

密かに思いをめぐらしているのでした。