二つの選択肢

 まず、次はないだろうと思っていたのですが、意に反して声を掛けていただきました。しかし、問題は、本当に仕事をして欲しいのかという態度だったと思います。

 つまり、どういうことかというと、業務委託の形で図面を描く仕事を得たのですが、最初からそれを希望したわけでもなく、これは、先方の都合です。つまり、事実として雇用契約、労働契約に違いないわけです。しかし、結果として、個人情報の守秘などの契約は交しましたが、委託契約は無し。それをいいことに、1カ月後には期間も定めずいきなり休めと言い出す始末。私は、次は無い覚悟で退社し、以来2カ月、すっかり自分の仕事に入っていた今になって、仕事が入ったから来てくれと連絡がありました。

 行きましたよ。しかし、一日で発掘現場へ出てほしいだとか、言います。それは全然かまわないのですが、最初からそのような話でしたし、技術も問題ないはずです。それが、話が二転三転し、最初の1カ月と同じ、何時からなのか、本当に人手が要るのか、など、話がころころ変わります。人は要るはずですが、担当の調査員が、渋っているようにしか見えず、「やはり、なるほど」と判りました。

 彼は、私に辞めて欲しいのでしょう。最初から、断ってほしいために、きつい仕事ばかりを言って、それでも大丈夫ですか、と繰り返していたようです。彼にとっての問題は、私が全然大丈夫だったこと、技術的にも体力的にも。そして、それなりに知識があり、顔も広かったこと、でしょう。いまさら、年上の専門員を入れるのは、面白くないと思っても仕方がないと思います。自然ですね。感情的には。

 それで、私としては、選択肢は二つありました。彼がこのような態度である以上、また、突然休んでくれなどと言い出すでしょう。全くあてにならない仕事だということです。これを回避するには、一つは「契約書」を交わすこと。もう一つは、辞めることです。私は、契約書を無理に交してまでの仕事ではないと判断。早々に見切りをつけることにしました。

 適当な理由をつけて、今回の勤務は2日のみ。私は、これから、自分の仕事に集中します。すっきりしました。が、退路はないので、緊張もあります。遺跡の仕事は、結局は縁がなかったですね。最初から、今回に至るまで。考古学は、私の場合、仕事にはならなかったということです。未練があるなら、自身で研究せよ、ということですが、その道のりは遙かですから、今の私には、そのような覚悟は、ない、かな。一応、ここで、終止符を打ちます。